えみちゃんと はなのようせい
え・しゅとうじゅんこ ぶん・ダイアナコリー |
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あたたかい はるのひです。
モクレンの うすむらさきいろのはなが うたっています。
スミレも タンポポも ほほえんでいます。
えみちゃんは ちかくの のはらに はなをつみに いきました。
ピンクの じゅうたんを しきつめたような
レンゲのはなで いっぱいの のはらです。
えみちゃんが レンゲのはなで
かわいいくびかざりを あんでいると
うつくしいちょうちょが とんできていいました。
「あなたが えみちゃんですね。
ずっと さがしていました。
どうか わたしのはなしを きいてく ださい」 |
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「じつは わたしのすむ ようせいのくにのおうじさまが
おきさきを おえらびになる ぶとうかいを
ひらくことになりました。
ところが ユリのようせ いに うらないをしてもらうと
そのよる ようせいのくにに とても ふきつなことがおこり
くには ほろびてしまうだろう というのです。
ようせいのくにを すくえるのは えみちゃんというなまえの
4さいの おんなのこだけだとも。
ユリのようせいの うらないが はずれた
ことは いちどだってありません」
(中略) |
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(前略)
きりが すこしずつ はれてくると
えみちゃんの めの まえに
うつくしいバラのアーチが あらわれました。
そして そのむこうには えみちゃんが
いままで みたこともないような
あいらしい はなぞのが のぞいていました。
「さあ ここが ようせいのくにです。
この はなのかんむりを かぶってください」 |
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ちょうちょが はなのかんむりを
えみちゃんのあたまに のせると
えみちゃんは みるみる ちいさくなりました。
そして きれいな スズランの はなびらで できた
かわいらしいドレスに つつまれました。
えみちゃんは うれしくなって あたりを みわたしました。
すると あちこちの はなかげに
かわいらしい ようせいの すがたが ありました。 |
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ようせいたちは みな こんやの ぶとうかいに そなえて
おけしょうの さいちゅうでした。
ツキミソウのようせいは つややかな クリームいろのドレスに
おそろいの かわいらしい くつをはき
クリームいろの アイシャドーをつけて
とても みりょくてきです。
マリーゴールドのようせいの きんいろのドレスも
うっとりするほどの うつくしさ。
(中略) |
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そんなはなのようせいたちの なかで
ひときわ きよらかで うつくしいのが
バラようせいでした。
「えみちゃん よくいらして くださいました。
ぶとうかいが ぶじにおわりますように みとどけてください」
バラのようせいは えみちゃんのてをとっていいました。
(中略) |
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そのころ おしろの そばにある
おおきな カシのきの あなにすむ クモのまじょも
ぶとうかいにいく じゅんびを していました。
クモのいとで おった くろいドレスと あかいめが
ロウソクのひかりに あやしく ひかっています。
「この まほうのかめんを かぶれば
どんなに よごれたこころも かがやく ばかりの うつくしさ。
おうじさまも むちゅうになるはず。
おきさきに なったら このくにを のっとって
わたしの おもいのままに してしまおう」
まじょは あやしく わらいました。 |
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(中略)
えみちゃんは ゆめのような ぶとうかいを
ちょうちょといっしょに きんいろのクッションにすわり
ながめていました。
うつくしい ようせいたちの なかでも おうじさまは やはり
バラのようせいの きよらかな うつくしさに
こころを うたれました。 そして
「わたしの おきさきは このかたをおいて ほかにいない」
とおもうのでした。
かろやかに ゆうがに おどる おうじさまとバラのようせいの
すがたに だれもがみとれ おにあいだと ささやきました。 |
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「ダンスの おあいてに えらばれるのは わたしのはず」
と じしんたっぷりだった クモのまじょは
かめんの おくで おそろしい キバを むきました。
そして バラのようせいと おどっている おうじさまに しずかにちかずいて
めにみえない クモのいとを まきつけたのです。
すると おうじさまは ふらふらと バラのようせいの
もとをはなれて クモのまじょと おどりはじめました。
「くろいどれすのかたって いったい どんなかたなのかしら」
えみちゃんが そうおもいながら ふたりに ちかずいたとき
まじょは「しまった」と おもいました。
まさか ここに にんげんがいるとは
おもっても みなかったのです。
まほうのかめんも にんげんには つうじません。
えみちゃんには うつくしいかめんを とおして
らんらんとひかる あかいめがみえたのです。 |
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えみちゃんは おもいきり おおきなこえで さけびました。
「おうじさま! くろいドレスのかたは きけんです」
おうじさまは はっとわれにかえり けんをぬきました。
まじょは かめんを むしりとると まほうのつえを ふりあげて
おうじさま のけんを たたきおとしました。
えみちゃんは むちゅうで
おうじさまの おとした けんを ひろって
クモのまじょに なげつけました。
けんがあたると クモのからだは けむりと ともにきえうせて
くろいドレス だけが のこりました。 |
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おうじさまは えみちゃんに かけよりました。
「あぶないところでした。
よく クモのしょうたいが わかりましたね」
「ありがとう たいせつな わたしたちの おうじさまと
うつくしい ようせいのくにを すくっていただいて」
と バラのようせいも なみだを いっぱいためて いいました。
(中略)
えみちゃんは ふたりの けっこんしきの ようすを
おもいうかべて とても しあわせな きもちになりました。
きっと どんなにか はなやかで うつくしい ことでしょう。
こうして おうじさまは すばらしいおきさきを みつけることが できたのでした。 |
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(中略)
えみちゃんが とうきょうと あだちくのいえに
かえるときが きたのです。
「さようなら おうじさま さようなら バラのようせい」
「さようなら えみちゃん。
わたしたちの けっこんしきには きっといらしてくださいね」
えみちゃんは うなずきました。
えみちゃんは ばしゃのなかで
おみやげに もらった つつみをあけてみました。
なかに はいっていたのは うつくしい オルゴールでした。
ふたを あけると おうじさまと バラのようせいが ぶとうかいで
おどった きょくが ながれてきたのでした。 |
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